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漢方の「効き方」 [漢方の「効き方」]

漢方の「効き方」

日本の医療現場で、漢方はどのぐらい使われているのだろうか。

詳しい統計はないが、日本漢方生薬製剤協会が
2008年に医師約700人を対象に実施したインターネット調査では、
8割以上が漢方を処方しているという結果だった。

風邪や便秘、不定愁訴など、西洋医学では治しにくい病気に使うとの答えが多かった。

公的医療保険の適用を受ける漢方は148品目あり、35年前に比べ約3倍に増えた。
2001年に医学部のコアカリキュラムに漢方医学が盛り込まれたことも、処方拡大の後押しをしている。

西洋医学は病名を重視するのに対し、
漢方を始めとする東洋医学では体質や症状を重んじる。
病気の治し方のアプローチが違うため、得意分野も異なり、症状に応じて使い分けられている。

例えば「がん」の治療は、西洋医学で対処するのがふつうだ。
X線やCTなどの機器で、がんを見つけ、腫瘍(しゅよう)部分を手術で切る。

がん細胞が周りにも広がっていれば、抗がん剤でたたく。
早期に見つけられれば、完治も可能だ。ただ、抗がん剤には強い副作用という短所もある。

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漢方は、証にもとづき「人をみる」 [漢方の「効き方」]

■漢方は、証にもとづき「人をみる」

一方、東洋医学が効くことが多いのは、
冷え性や更年期障害など複数の要因が絡み合って起こる病気や、
深刻な病気につながりかねない体の不調である「未病」の治療だ。
抗がん剤のような強い副作用はないが、慢性疾患では長く飲み続けなければならないという限界もある。

診断でも、東洋医学は機器を使わず、五感をフル活用する。
患者の話を聞く「問診」、脈をみたりおなかを触ったりする「切診」、
患者の顔色や舌などを診る「望診」、声の調子や口臭などをかぐ「聞診」の「四診」が基本だ。

四診を通じて、体質や症状から「証」を導きだし、薬を選ぶ。

証を決める際には、患者の体質を表す「虚実」、体温を表す「陰陽」を見極める。
「虚」は体力がなく、気力が乏しい状態、「実」は反対に体力があり、声にも張りがある。
「陰」は体が冷えており、「陽」はほてっている。

個人の証に合わせて処方するため、西洋医学でも注目され始めた個別化医療
(患者個々の状態にあわせたオーダーメードの医療)の先駆けともいわれる。
ただ、西洋医学で求められている科学的根拠を出しにくく、
「効能がわからない」との批判を常に浴びてきた。

薬の科学的根拠を示すには「無作為化比較試験」という手法が用いられる。

患者を無作為に二つの集団にわけ、
一つの集団には新しい薬、もう一つの集団には既存の薬、または偽薬を用いて、
どちらが効くかを比べる方法だ。

しかし漢方の場合、
(1)個別化医療のため、集団としての科学的根拠を出しにくい
(2)患者の主観で症状を診るため、検査値などの客観的な指標を出しにくい
(3)臓器別ではなく、その人を全体で診る「全人医療」のため、評価がしにくい
――といった課題を抱える。

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日本漢方薬への取り組み [漢方の「効き方」]

■日本漢方薬への取り組み

日本東洋医学会が2005年、
10人以上の症例がある東洋医学の論文905本を検証したところ、
無作為化比較試験をしていたのは13本だった。

例えば、インフルエンザと診断された患者20人のうち、
8人にタミフル、12人に麻黄湯(まおうとう)を処方したところ、
平熱になるまでの時間は、両方とも20時間程度だったという比較試験がある。

ただ、西洋医学の基準では、
この試験だけで「麻黄湯はタミフルと同じ効果」とまではみなされない。
試験の規模が小さく、精度が不十分とされるからだ。

「漢方は効かない」という西洋医学界からの批判を受け、
厚生労働省の研究班は現在、漢方がどんな人に効きやすいのかを
定量化する研究に取り組んでいる。
全国10の病院で、3年間かけて数万人分の患者データを蓄積する計画だ。


患者が受診の際に、症状とその程度を0から100の範囲でコンピューターに入力。
西洋医学の診断名と漢方の証、処方薬のデータも同時に集める。
体質や症状と、漢方の効果との間に一定のパターンを見つけることで科学的根拠を示し、
治療の標準化につなげようというプロジェクトだ。

主任研究者を務める慶応大准教授の渡辺賢治は、
漢方の処方は、経験に基づき行われてきた。伝統医学の匠(たくみ)の技だけでなく、
経験の少ない医師でも標準的な処方ができる指針を作りたい」
と話している。

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