SSブログ

日本漢方薬への取り組み [漢方の「効き方」]

■日本漢方薬への取り組み

日本東洋医学会が2005年、
10人以上の症例がある東洋医学の論文905本を検証したところ、
無作為化比較試験をしていたのは13本だった。

例えば、インフルエンザと診断された患者20人のうち、
8人にタミフル、12人に麻黄湯(まおうとう)を処方したところ、
平熱になるまでの時間は、両方とも20時間程度だったという比較試験がある。

ただ、西洋医学の基準では、
この試験だけで「麻黄湯はタミフルと同じ効果」とまではみなされない。
試験の規模が小さく、精度が不十分とされるからだ。

「漢方は効かない」という西洋医学界からの批判を受け、
厚生労働省の研究班は現在、漢方がどんな人に効きやすいのかを
定量化する研究に取り組んでいる。
全国10の病院で、3年間かけて数万人分の患者データを蓄積する計画だ。


患者が受診の際に、症状とその程度を0から100の範囲でコンピューターに入力。
西洋医学の診断名と漢方の証、処方薬のデータも同時に集める。
体質や症状と、漢方の効果との間に一定のパターンを見つけることで科学的根拠を示し、
治療の標準化につなげようというプロジェクトだ。

主任研究者を務める慶応大准教授の渡辺賢治は、
漢方の処方は、経験に基づき行われてきた。伝統医学の匠(たくみ)の技だけでなく、
経験の少ない医師でも標準的な処方ができる指針を作りたい」
と話している。

nice!(0) 
共通テーマ:健康

中国の動きに警戒感 [日本での生薬栽培]

■中国の動きに警戒感

「手をこまねいていると、中国の思い通りになる可能性がある」
2009年夏、東京でのシンポジウムで、元厚生労働省官僚の医師、清谷哲朗は訴えた。

清谷はISO(国際標準化機構)に助言する専門家の一人。
ISOの場で中国が中医学の国際標準化の手を打ってくることに焦りを覚えていた。

会場にいた漢方医らの反応は鈍かった。
当時、日本東洋医学会の会長に就任して間もなかった元千葉大教授の寺澤捷年も
「学術的な争いで済むだろう」と、楽観視していたという。

寺澤は16世紀の韓医学を描いて人気を呼んだ韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」
の医学監修を務めたことでも知られる。

だが、1年もしないうちに寺澤の見方は一変した。
2010年6月に北京で開かれた中医学に関するISOの専門委員会に参加したところ、
幹事国の中国が議事を仕切り、日本から委員会の議長に立候補しようとしても事実上無視されたという。

議長は中国の立場に近いオーストラリアに決定。

「議決には、挙手も投票もなかった」

この問題についての厚労省研究班長を務める金沢医科大教授(腫瘍内科)の
元雄良治も「中国側は中医専門の医師の養成や、生薬の処方の仕方、
はり治療の道具など、あらゆる範囲で産業化をにらみ、意見を通そうとした」と振り返る。

nice!(0) 
共通テーマ:健康

日本の漢方、韓国の韓医学、中国の中医学 [日本での生薬栽培]

■日本の漢方、韓国の韓医学、中国の中医学

日本の漢方は、中国の伝統医療が源流だが、
1000年以上の経験を重ね、独自の進化をした。

例えば、日本の漢方は治療方針を決めるときに腹部の診察を重視するが、
中医学ではさほど重んじない。
かぜ症状に用いる葛根湯も、中国と日本では構成する生薬が微妙に異なる。
韓医学も中医学と様々な違いがある。

中医学が「正統」と認定されれば、日本の漢方や、韓医学は、国際的には「傍流」とされかねない
──というのが寺澤らの持つ危機感だ。

中医師がISOの規格となれば、日本の医師免許制度や医学教育にも混乱が生じ、
「医療の質が保てなくなる」とも懸念する。

ただ、国際的な議論の場では、「当事者」の日、中、韓以外の関心は薄い。
日本の委員らは会議の場で、欧州の参加国から
「中医学も、漢方も、我々には区別がつかない」と言われたことがある。

nice!(0) 
共通テーマ:健康

「安全性と高品質」をアピール [日本での生薬栽培]

■「安全性と高品質」をアピール

寺澤が議長を務める日本東洋医学サミット会議(JLOM)は今年1月、
緊急の国際フォーラムを東京で開いた。

目的は5月のISO専門委員会に向けた根回し。
日本漢方生薬製剤協会などメーカーを巻き込み、費用の約1000万円を捻出した。

招きに応じたのは、中国、韓国のほか、米国やオランダなど、六つの国・地域。
それぞれの伝統医療の実情を発表してもらい、
国ごとの多様性の大切さを印象づける作戦だった。
漢方製剤の工場に各代表を案内し、日本の製品の安全性と品質の高さもアピールした。

「手応えはあった」と寺澤はいうが、
委員会の投票権を持つ国・地域には華僑の影響力が強いところもある。
「多数決になれば、負けるかもしれない」

もっとも、国内の漢方関係者の中には、「中国脅威論」に距離を置く見方も少なくない。

「中医学が国際標準になっても、日本国内の日常の診療には影響ない」
「中国に対抗してまで漢方をグローバル化する必要はない」
といった指摘だ。

nice!(0) 
共通テーマ:健康

漢方薬を取り巻く日本の情勢 [日本での生薬栽培]

■漢方薬を取り巻く日本の情勢

ツムラのある幹部は
 「新薬の承認は各国で1品目ごとに必要だ。
 中薬が標準化されても日本で自由に売れるわけではない。
 他の工業製品とは違う」と話す。

ただ、中韓と比べたときに、日本の漢方には人材不足と、
政府なども含めた国内体制の弱さが目立つという声もある。

明治以後、西洋医学が医師教育の主流になり漢方は民間医療に位置づけられた。
見直されたのは、薬害問題で合成医薬品への不安が広がった1970年代以後。
医学教育のモデルカリキュラムに漢方が盛り込まれたのは2001年からだ。

民主党政権になって、厚労省内に、漢方などの統合医療を検討する
プロジェクトチームが立ち上がり、関連予算も従来の約10倍にあたる約10億円に増えてはいる。
それでも、国際会議への出席は、大学教授などの臨床医らが診察の合間を縫ってこなしているのが実情だ。

中国が進めようとしている国際標準化にどう対応するのか。
日本での議論は、まだ深まっていない。

nice!(0) 
共通テーマ:健康

漢方の薬草は秋田で [国内栽培拡大]

漢方の薬草は秋田で…中国では安定供給に不安

秋田県内で休耕田を活用して漢方薬原料の薬用植物を栽培する動きが広がっている。

主な原料調達先を中国から国内へと変更したい漢方薬メーカーと、
米価下落などの逆風下での生き残りをかける農家側の思惑が一致。
農家は生産組合を組織して薬草栽培のノウハウを共有するなど高収益の農業経営を模索する。

 2015.01.04.秋田県内で栽培している主な薬用植物.png

秋田県南部の羽後町では、2012年12月、35軒の農家が集まり薬草生産組合を発足させた。
3ヘクタールで婦人病などに効く漢方薬の原料となるトウキを栽培し、
昨年秋には初収穫を終えた。 単位面積当たりの売り上げは、稲作の1・5倍以上という。

無農薬栽培のため手間がかかり、農機改造などの初期投資も必要になるなど課題もあるが、
生産者にとって心強いのは、需要が確実に見込めることだ。

 2015.01.04.改造した農機でトウキの根を掘り起こす生産者(秋田県羽後町で).png

国内メーカーの主な原料調達先は中国だが、品質や供給の安定に不安があり、
さらに円安傾向でコスト高になってきている。
同組合はメーカー側から栽培面積を30ヘクタールに増やすよう求められている。
仙北市でも14年春に生産組合が発足。2ヘクタールで芍薬しゃくやくなどを栽培する。


nice!(0) 
共通テーマ:健康

漢方薬の考え方 [漢方薬の考え方]

漢方薬と西洋薬とは異なります。

漢方薬は、体全体のバランスを整えることで病気を治療して行きます。
私たちの身体には、体の調子を元通りに戻そうとする力が備わっています。

例えば、
 気温が低くなると、体温を上げようとして、ふるえや熱産生が活発になります。
 また、多量の汗をかくと、それ以上水分が外に出て行かないように、
 尿の量が少なくなります。

このように、外部からの影響を受けた時に、内部環境を一定に保とうとする性質を持っています。
この性質を、恒常性(ホメオスタシス)と呼び、漢方薬は、この恒常性を元に戻すことによって、
全体のバランスを整えます。

また、漢方薬は、身体の自然治癒力を高めることにより症状の改善を行います。
漢方薬が、恒常性を元に戻すように働きかけることから分かる通り、
漢方薬は、その人に本来備わっている力を引き出すことで病気を治します。

西洋薬とは異なる考え方で作用するのが漢方薬なのです。


nice!(0) 
共通テーマ:健康

漢方薬の原料、ツムラ国内栽培拡大 [国内栽培拡大]

漢方薬の原料、ツムラ国内栽培拡大 中国依存から脱却へ

中国からの輸入に8割を依存している生薬を国内で栽培し、
漢方薬の原料を安定的に調達しようという取り組みが加速している。

 B-001.png漢方製剤などの生産額

トレーサビリティー(履歴管理)の強化を実現するのも狙いの一つだ。
漢方薬の需要は年々拡大しており、農林水産省も成長分野として生薬の国産化を重視。

コスト面などの課題を抱える中、2016年度の国内生産量を10年度比で、
1.5倍にする目標を掲げ、自前調達の動きを後押ししている。


nice!(0) 
共通テーマ:健康

研究進み効能証明 [国内栽培拡大]

漢方薬の原料、国内栽培拡大 中国依存から脱却へ

■研究進み効能証明

医療用漢方薬の国内最大手、ツムラは09年に設立した子会社の夕張ツムラ(北海道夕張市)や
契約農家を含め、道内での生薬の栽培面積を20年に現在の3~4倍となる
約1000万平方メートルに拡大する計画を進めている。

ツムラも原料の約8割を中国からの輸入に頼る。
ただ、神経過敏や認知症による興奮などの症状に用いられる「抑肝散(よくかんさん)」の原料の一つ、
センキュウは国内栽培品だけを利用している。
13年度に同社の医療用漢方薬の中で売上高が3番目に多い66億円になるなど、
抑肝散は需要が急伸。
同社は「漢方薬の伸びに合わせ、生薬の国内栽培も拡大していく」とする。

国内の漢方薬市場は拡大を続けている。
厚生労働省の統計や日本漢方生薬製剤協会によると、
漢方医学の考え方に基づかない「生薬製剤」も含む「漢方製剤など」の
12年の国内生産額は前年比6.8%増の1519億円。
5年前より約2割増えた。

かつては効能に科学的根拠が薄いとみられていたが「研究が進むにつれて効能が証明され、
大学医学部の教育課程に組み込まれるなど医療用を中心に普及した」(ツムラ)という。

このため専業メーカー以外にも、異業種が生薬の栽培に乗り出すケースも出てきている。
王子製紙を傘下に持つ王子ホールディングスは「医療植物研究室」を昨年9月に新設。
北海道下川町に研究員3人が常駐し、紙の原料となる植林地などで長年培ってきた
育種技術の生薬への応用を、約9000平方メートルの栽培地を使って模索している。

nice!(0) 
共通テーマ:健康

コストの壁 [国内栽培拡大]

漢方薬の原料、国内栽培拡大 中国依存から脱却へ

■コストの壁

ただ、価格面などで国産生薬の普及へのハードルは高い。
一般的な流通市場がない生薬は漢方薬メーカーが農家らと
「全量(買い取り)契約」を結ぶケースが多い。
経済発展で国内などの需要が膨らんだ中国産は価格が上昇傾向にあるものの、
日本国内産の買い取り価格は依然、「中国産の2~3倍」(農水省)の水準。
また、品種によって栽培に適した気候や土壌の違いもあり、「中国産の重要性は変わらない」。

その一方、国産は国内漢方薬メーカーにとって安全を保障するトレーサビリティーの確保が
比較的容易というメリットがある。
また「攻めの農業」を推進する安倍晋三政権にとって
「生薬は需要拡大が見込まれる数少ない作物。
農家の所得向上や経営安定に役立つ」(農水省生産局)という意味合いもある。

このため農水省は14年度予算に4億円を計上し、薬用植物の栽培技術確立や
農業機械の改良で低コスト化を図る農家らへの補助金を、新規事業として創設。
耕作放棄地の活用も後押しし、薬用植物の国内生産量を16年度には10年度比で、
1.5倍の約1400トンに増やす方針だ。

漢方薬が医療用薬品全体に占める割合は2%程度にすぎず、
今後の成長余地は大きいとの見方は強い。
植物工場やバイオ技術の活用なども含め、鍵を握る生薬の安定調達に向け、
官民一体となった挑戦が続きそうだ。


nice!(0) 
共通テーマ:健康

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。